ChatGPTに新しいモデルが出るたびに、「どれを選べばよいのか」と迷う方は少なくありません。ただ、会社で使うときに大事なのは、毎回いちばん強いモデルを選ぶことではありません。仕事の重さに合わせて、速さと考える深さを分けることの方が大切です。

まず結論:モデル名より、仕事の重さで選ぶ

小さな業務を選び、機密情報を除き、AIで下書きを作り、人が確認する4段階
AIは下書きを作る道具として使い、最後は人が確認します。

メールの下書き、文章の要約、アイデア出しのようにすぐ返答が欲しい仕事は、通常の高速な設定から始めます。数字の比較、長い資料の整理、計画作りなど、前提が多い仕事はThinkingのように深く考える設定が向いています。経営判断や重要な提案のたたき台など、手間がかかっても精度を優先したいときはProを検討します。

どの設定を使っても、最終確認は人が行います。特に、数字、日付、社名、制度、法令、専門的な判断は原文と照らし合わせてください。

GPT-5.6で何が変わったのか

OpenAIは2026年7月9日、GPT-5.6ファミリーを一般提供しました。最上位の「Sol」、性能とコストのバランスを取った「Terra」、速さと費用を重視した「Luna」の3系統です。OpenAIの公式発表では、GPT-5.6はChatGPT、Codex、OpenAI APIで利用できるとされています。

一方、ChatGPTの画面では、契約プランによって「Instant」「Thinking」「Pro」のような選択肢が表示されます。つまり、毎日の仕事では「SolかTerraか」と名前を暗記するより、すぐ返して欲しいのか、じっくり考えて欲しいのかを決める方が実用的です。表示される名称と選択肢はプランや提供状況で異なるため、手元の画面で確認してください。

仕事別の選び方

仕事 まず試す設定 使い方のポイント
メール・議事録・要約 Instantまたは自動選択 出力形式と文字数を先に指定
比較・計画・長文資料 Thinking 前提、制約、判断基準を分けて渡す
重要な提案・複雑な検討 Pro 結論だけでなく、根拠と未確認事項も出す
表の整理・作業の反復 高速な設定から開始 少量の見本で確認し、問題がなければ範囲を広げる

最初から最も重い設定にすると、返答を待つ時間が増え、日常業務で使われなくなることがあります。チームでは、「普段は高速、比較や計画はThinking、重要な検討はPro」のように、ひとことで共有できるルールにすると運用しやすくなります。

中小企業では「1つの仕事」から始める

モデル選びより先に、何に使うかを絞ります。おすすめは、毎週または毎月繰り返す、結果を人が確認できる仕事です。例えば、会議メモの整理、日報からの課題抽出、問い合わせ返信の下書きなどです。

  1. 仕事を1つ選ぶ。使った回数や短縮できた時間を確認しやすくします。
  2. 入力してよい情報を決める。個人情報、取引先の機密情報、未公開情報の扱いを具体例で共有します。
  3. AIには下書きを作らせる。そのまま送信や公開をせず、たたき台として使います。
  4. 確認する人を決める。数字、固有名詞、ルール、文脈を確認してから利用します。

そのまま使える依頼文の型

依頼文は長ければよいわけではありません。「目的」「相手」「元の情報」「出力の形」「確認して欲しいこと」の5つに分けると、相手にも共有しやすくなります。

目的:お客様へ送る日程調整メールの下書きを作る。
相手:初めて打ち合わせをする企業担当者。
元の情報:候補日は○月○日と△月△日。オンラインで60分。
出力:件名と1,000文字以内の本文。
確認:未確定の情報を勝手に補わず、不明点は「要確認」と書く。

社内で共通の型を作ると、個人の上手さだけに頼らず、同じ仕事を繰り返しやすくなります。

旧モデルの表示がなくなったときは

OpenAIのリリースノートでは、2026年3月11日にGPT-5.1系がChatGPTから終了し、既存の会話は現行のInstant、Thinking、Proに対応するモデルへ引き継がれると案内されています。以前と同じ名前が見つからなくても、会話が消えたわけではありません。

社内マニュアルに特定のモデル名だけを書くと、更新のたびに書き換えが必要になります。「日常の下書き」「複雑な検討」「最重要の判断支援」のように用途で書いておくと、モデルが変わっても運用を続けられます。

導入前に決めるチェックリスト

  • 最初に使う1つの仕事を決めた
  • 入力してよい情報と入力しない情報を決めた
  • 回答を確認する人を決めた
  • 普段、Thinking、Proを使い分ける基準を一文で共有した
  • 試す期間と振り返り日を決めた
  • 利用回数、作業時間、修正回数のうち1つを記録する

よくある質問

最初からGPT-5.6 Solを選ぶべきですか?

必ずしもそうではありません。日常的な下書きや要約は高速な設定から試し、結果が不十分なときにThinkingやより強い設定へ切り替えます。

会社の情報を入れてもいいですか?

契約プラン、管理設定、社内ルールで異なります。個人判断で入力せず、管理者が利用環境と入力ルールを確認してください。

使い方を覚えるのに研修は必要ですか?

少人数で1つの業務を試すだけなら、ルールと相談先を決めることから始められます。複数部署で共通の使い方を整えたい場合や、自社の仕事で実践したい場合は、研修とその後の伴走支援が向いています。

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