学校・専門学校の生成AI研修の進め方|教員研修と授業で気をつけること

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この記事の要点

  • 学校・専門学校で生成AIの研修を行うときは、まず「教職員が校務で使う研修」と「学生・生徒が学ぶ授業」を分けて考えるのが基本です。
  • 教員研修では、文書作成や資料づくりなど校務での使い方と、個人情報・成績などを入力しないルールを、実際に手を動かしながら学びます。
  • 授業では、文部科学省のガイドラインや学校の方針を踏まえ、年齢や利用規約に合わせて「AIの答えをうのみにしない」「自分の考えを持つ」ことを中心に設計しましょう。

「先生たちが生成AIを使えるようになってほしい」「学生に生成AIとの付き合い方を教えたいが、何から始めればよいか分からない」。学校や専門学校でも、生成AIへの関心が高まっています。一方で、学校には企業とは違う気をつけるべき点があります。学生・生徒の年齢、個人情報や成績の扱い、課題やレポートでの使い方などです。

この記事では、学校・専門学校で生成AIの研修や授業を進めるときの考え方と、教員研修・授業それぞれの進め方、事前に決めておきたいルールを整理します。

学校で気をつけること

文部科学省は、初等中等教育段階(小学校・中学校・高等学校など)向けに「生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を2024年12月に公表しています。また、大学・高専向けには、教学面での取扱いについての考え方を示しています。専門学校でも、これらの考え方と学校の方針を踏まえて進めるのが安心です。特に気をつけたいのは次の点です。

気をつける点 具体的に確認すること
年齢と利用規約 使うサービスの利用規約に年齢の条件がないか。保護者の同意が必要か
個人情報 学生・生徒の氏名、成績、家庭の状況、健康の情報などを入力しない
著作権 授業や課題で使う資料、AIが作った文章や画像の扱い
課題・評価 レポートや課題でどこまで生成AIを使ってよいか。使った場合の書き方
使うアカウント 学校が管理するアカウントで使うか、個人のアカウントを使うか

これらは、研修や授業の前に学校としての方針を決めておく必要があります。方針がないまま始めると、先生ごとに対応がばらばらになり、学生・生徒も迷ってしまいます。

教員研修と授業の違い

学校での生成AIの取り組みを2つに分ける図。左の枠「教職員の研修(校務で使う)」には文書・お知らせの下書き、授業資料のたたき台、会議の記録の整理のアイコン、右の枠「学生・生徒の授業(学びに使う)」には仕組みと限界を知る、答えを確かめる、自分の考えをまとめるのアイコンが並ぶ。中央の下に共通の土台として「学校の方針・入力しない情報のルール」の帯がある
教職員の研修と学生・生徒の授業は目的が違います。共通の土台として、学校の方針とルールを先に決めます
教職員の研修 学生・生徒の授業
目的 校務の負担を減らし、授業準備の時間を生み出す 生成AIの仕組みと限界を理解し、上手に付き合う力を身につける
主な内容 文書の下書き、資料のたたき台、情報の整理 答えを確かめる、使ってよい場面を考える、自分の考えをまとめる
気をつける点 学生・生徒の個人情報や成績を入力しない 年齢・利用規約、課題での使い方、評価のルール

順番としては、まず教職員が使ってみるのがおすすめです。先生自身が便利さと限界を体験していると、授業でも実感をもって伝えられます。

教員研修の進め方

  1. 学校の方針を確認する:使ってよいサービスとアカウント、入力してはいけない情報を、研修の最初に全員で確認します。
  2. 校務の題材で手を動かす:保護者や学生へのお知らせの下書き、行事の案内文、会議の記録の整理、授業で使う問題のたたき台など、先生がふだん行っている仕事を題材にします。
  3. 出力を確かめる練習をする:AIの答えには誤りが含まれることがあります。事実の確認、表現の見直しを必ず行う習慣を身につけます。
  4. 依頼文の型を共有する:うまくいった依頼文(プロンプト)を校内で共有できる形にまとめます。
  5. 研修後の相談の場を作る:使い始めてからの疑問を集め、ルールや手順を少しずつ直します。

文部科学省のページでは、教員向けの研修動画やオンライン研修会のアーカイブも紹介されています。校内研修の前後に活用するのもよいでしょう。

校務で使える依頼文の例

教員研修では、次のような依頼文(プロンプト)を題材にすると、先生方がすぐに試せます。いずれも、学生・生徒の名前や成績などの個人情報は入れずに使います。

場面 依頼文の例
お知らせの下書き 「保護者向けに、行事の日程変更を知らせる文章を、丁寧な表現で300字程度で作ってください。日付は○月○日です。」
授業資料のたたき台 「○○の単元について、90分の授業の流れの案を、導入・説明・演習・まとめに分けて作ってください。」
確認問題づくり 「次の文章の内容について、理解を確かめる選択式の問題を5問作ってください。答えと解説もつけてください。」
会議の記録の整理 「次の会議メモを、決まったこと・担当・期限に分けて整理してください。書かれていないことは追加しないでください。」

作った文章や問題は、必ず先生が内容を確認し、学校の表現や方針に合わせて直してから使いましょう。依頼文には、目的・前提・出力の形を具体的に書くと、使える結果が得やすくなります。

授業の進め方(専門学校の例)

専門学校では、卒業後に働く現場で生成AIに出会う機会が増えています。仕事で使う場面を想定した授業にすると、学生にとっても意味のある学びになります。

生成AIを使う授業の設計例を示す4段階の横並びの図。「1 知る(仕組みと得意・苦手)」「2 試す(決められた題材で使ってみる)」「3 確かめる(答えの誤りを探す・出典を調べる)」「4 考える(仕事で使ってよい場面と注意点を話し合う)」の4枚のカードが矢印でつながり、最後に「自分の考えでまとめる」の黄色いラベルがある
使い方を覚えるだけでなく、答えを確かめ、使ってよい場面を自分で考える流れにします
  1. 知る:生成AIがどのように文章を作るのか、得意なこと・苦手なこと(誤りを含むことがある、最新の情報を知らないことがある)を学びます。
  2. 試す:個人情報を含まない決められた題材で、実際に使ってみます。
  3. 確かめる:AIの答えに誤りがないかを、教科書や公的な資料で確かめる練習をします。
  4. 考える:将来の仕事の場面で、使ってよい場面と注意すべき場面を話し合います。たとえば、子どもや利用者に関わる仕事なら、個人の情報をどう守るかを考えるきっかけになります。

課題やレポートで生成AIを使ってよいかどうか、使った場合にどう書くかは、授業の最初に学生へはっきり伝えましょう。

株式会社善の実施例

株式会社善では、2026年9月28日に神戸元町こども専門学校で研修を担当しました。また、株式会社善が運営する参加無料の学びのコミュニティ「G-Labo」(累計受講者3,000名超)で、Googleツールや生成AIのハンズオンを継続して開催しています。こうした経験をもとに、受講する方の立場や目的に合わせた研修の設計を大切にしています。

研修の形式は、全教職員向けの基本の研修と、関心のある先生向けの実践の研修を分けると、それぞれのレベルに合った内容にできます。校内に詳しい先生がいれば、研修のあとの相談役をお願いし、学校の中で教え合える体制をつくると、外部の研修に頼りすぎずに続けられます。

研修の前に学校で決めておきたいこと

  • 研修の目的(校務の負担を減らす、授業で扱えるようになる、など)
  • 使うサービスとアカウント(学校が管理するアカウントがあるか)
  • 入力してはいけない情報(学生・生徒の個人情報、成績、家庭の状況など)
  • 課題・評価での生成AIの扱い
  • 研修のあとに相談を受ける担当者

校内のルールは、文部科学省のガイドラインを土台に、学校の実情に合わせて決めます。授業・校務での具体的な使い方と注意点は「学校・専門学校での生成AI活用(授業・校務)と注意点」で紹介しています。

ゼンシンのAI実践研修

株式会社善の「ゼンシン」のAI実践研修では、受講する方の実際の仕事を題材に、試しながら学ぶ研修を行っています。学校・専門学校の教職員向けの研修や、学生向けの授業のご相談も承ります。研修で作った手順や資料は、お客様に帰属します。

よくある質問

生徒や学生に生成AIを使わせてもよいのでしょうか?

文部科学省のガイドラインや大学・高専向けの考え方を参考に、学校として方針を決めることが大切です。使うサービスの利用規約の年齢条件や、保護者の同意の要否も確認しましょう。


教員研修は何時間くらい必要ですか?

基本と校務での使い方を体験するなら2時間程度からでも始められます。ただし、使い続けるためには、研修後の相談の場や、テーマを変えた複数回の研修を組み合わせるのが効果的です。


レポートを生成AIで書かれるのが心配です。

生成AIの使用を一律に禁止するより、使ってよい範囲と、使った場合の書き方を明確にし、自分の考えや調べた過程を評価する課題の工夫をするのが現実的です。方針は授業の最初に伝えましょう。


学校のパソコン環境が整っていなくても研修できますか?

教職員のパソコンやタブレットで、ブラウザから使えるサービスであれば研修できます。事前に使うアカウントと接続環境を確認し、当日にログインでつまずかないよう準備しておきましょう。


保護者への説明は必要ですか?

学生・生徒が授業で生成AIを使う場合は、使う目的、使うサービス、個人情報の扱いなどを、学校の方針として保護者に伝えておくと安心です。年齢によっては保護者の同意が必要なサービスもあります。

まとめ

  • 教職員の研修(校務で使う)と、学生・生徒の授業(学びに使う)を分けて考えましょう。
  • 文部科学省のガイドラインなどを踏まえ、学校の方針と入力しない情報のルールを先に決めます。
  • まず教職員が校務で使ってみて、便利さと限界を体験してから授業に広げるのがおすすめです。
  • 授業では、答えを確かめ、使ってよい場面を自分で考える流れを大切にしましょう。

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参考資料・出典

ガイドラインやサービスの内容は変更される場合があります。公開日・更新日とあわせて、各公式資料の最新情報をご確認ください。

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この記事を書いた人

株式会社善 / 善のAX研究所

福祉の現場から始まった株式会社善が運営するコラムです。AI・Googleツール・業務改善について、日々の実務に役立つ考え方をお届けします。

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