業務アプリを作ったあとの保守はどうする?|GAS・AppSheetの運用で決めておくこと

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この記事の要点

  • GASやAppSheetで作った業務アプリは、作ったあとの「保守」を決めておかないと、担当者の異動や Google 側の仕様変更で突然止まることがあります。保守で決めておくことは、①持ち主(アカウント)と権限、②説明書と変更の記録、③止まったときの連絡先と手順、④定期的な点検、⑤修正・機能追加の頼み方、の5つです。
  • 社内で直す部分と外部に頼む部分を分け、外部に頼む場合は、対応の範囲と相談の方法を契約で決めておきましょう。
  • 作るときから保守を考えておくことが、仕組みを長く使い続けるいちばんの近道です。

「数年前に作ったGASが、ある日エラーで止まった」「AppSheetのアプリを作った担当者が辞めて、誰も直せない」「外注したが、納品後に頼める先がない」。業務アプリを作った中小企業から、こうした相談をよく受けます。

GASやAppSheetは、小さな仕組みを手軽に作れるのが良さですが、そのぶん「作りっぱなし」になりやすい面があります。この記事では、業務アプリを作ったあとの保守で決めておくことと、社内と外部の役割分担を整理します。担当者が辞める前の引き継ぎは「属人化したExcel・GASを引き継ぐ方法」で詳しく紹介しています。

業務アプリが止まる主な原因

原因 起きること
持ち主のアカウントが使えなくなる 退職や異動でアカウントが止まり、トリガー(自動で動く設定)やアプリが動かなくなる
元の表が変更される 誰かが列を追加・削除・名前変更し、仕組みが値を読めなくなる
実行の上限に達する データが増えて、1回の実行時間や1日の送信数などの上限にかかる
Google 側の仕様変更 機能の変更や、権限・セキュリティ設定の変更で、動きが変わる
使い方が変わる 業務の流れが変わったのに、仕組みが古いまま使われ、手作業が増える

GASのインストール可能なトリガーは、設定した人のアカウントで実行されます。Google の公式ドキュメントでは、実行時間などの割り当て(上限)も示されています。上限は変更される場合があるため、定期的に確認しましょう。

業務アプリが止まる主な原因を示す図。中央に止まった歯車のアイコンがあり、その周りに「持ち主のアカウントが使えない」「元の表が変更された」「実行の上限に達した」「Google側の仕様変更」「業務の流れが変わった」の5つのカードが矢印で歯車を指している
止まる原因の多くは、作ったときではなく、その後の変化から生まれます

保守で決めておく5つのこと

1. 持ち主(アカウント)と権限

仕組みのファイル、元データ、トリガーを、特定の個人ではなく会社として管理できるアカウントや共有ドライブにまとめます。誰が編集でき、誰が見るだけかも決めておきます。

2. 説明書と変更の記録

「どのファイルが、何のために、どう動いているか」を1枚にまとめます。変更したときは、日付・内容・変更した人を記録します。

3. 止まったときの連絡先と手順

エラーに気づいたら誰に連絡するか、復旧するまで手作業でどう回すかを決めておきます。GASはエラーの通知をメールで受け取る設定ができます。

4. 定期的な点検

半年に1回など時期を決め、動作の確認、使われていない機能の整理、権限の見直し、上限に近づいていないかの確認を行います。

5. 修正・機能追加の頼み方

小さな修正は社内、仕組みに関わる変更は外部、など役割を決め、外部に頼む場合は相談の窓口と対応の範囲を決めておきます。

社内でやること・外部に頼むことの分け方

業務アプリの保守を社内と外部で分ける図。左の「社内でやること」の枠に「日々の動作の確認」「入力項目・選択肢の小さな修正」「権限の追加・削除」「困りごとの記録」、右の「外部に頼むこと」の枠に「エラーの原因調査と修正」「仕組みに関わる変更・機能追加」「定期的な点検」「上限や仕様変更への対応」が並び、真ん中に「説明書と変更の記録を共有」の帯が両方をつないでいる
説明書と変更の記録を共有しておくと、社内と外部の役割分担がうまく回ります
社内でやること 外部に頼むこと
日々の動作の確認、エラー通知の確認 エラーの原因調査と修正
入力項目や選択肢の小さな修正(手順が決まっているもの) 仕組みに関わる変更、機能の追加
使う人の追加・削除などの権限の管理 半年ごとなどの定期点検
困りごとや改善の要望を記録する 上限や仕様変更への対応、作り直しの判断

社内に詳しい人がいない場合でも、「記録する」「連絡する」役割の人を決めておくだけで、止まったときの復旧が早くなります。

止まったときの対応手順(例)

  1. 止まったことに気づく:エラー通知、集計が更新されない、現場からの連絡など。
  2. 手作業に切り替える:復旧までの間、どの作業を誰が手で行うかを決めておきます。
  3. 状況を記録する:いつから、何が、どう動かないか。エラーの画面を保存します。
  4. 担当者・外部に連絡する:決めておいた連絡先に、記録とあわせて伝えます。
  5. 原因を直し、再発を防ぐ:直したら変更の記録を残し、説明書も更新します。

止まったときに慌てないためには、復旧までの手作業の手順を、仕組みを作った時点で決めておくことが大切です。紙の様式や手順書を残しておくだけでも、業務を止めずに済みます。

また、仕組みが増えてきたら、社内にどんな仕組みがあり、誰が持ち主で、何に使っているかを一覧にした「仕組みの台帳」を作っておくと、点検や引き継ぎがぐっと楽になります。台帳は、スプレッドシート1枚あれば十分です。

台帳には、仕組みの名前、目的、持ち主、元データの場所、説明書の場所、最後に点検した日を書いておくと、担当者が替わったときにもすぐに仕組みの全体を把握できます。

外部に保守を頼むときに確認すること

  • 対応の範囲:不具合の修正だけか、小さな変更や相談も含むか
  • 連絡の方法と、返事が来るまでの目安
  • 定期点検の有無と頻度
  • 作った人以外でも対応できるよう、説明書を整えてくれるか
  • 費用の決まり方:月ごとの契約か、依頼ごとか
  • 権限:保守のために渡す権限と、外すときの手順

契約の考え方は、IPAの「情報システム・モデル取引・契約書」が参考になります。依頼の進め方は「GAS開発の依頼先の選び方」「AppSheet開発を依頼するときの進め方」をご覧ください。

定期点検のチェックリスト(半年に1回の例)

  • 仕組みが予定どおり動いているか(実行ログ、通知、集計結果)
  • トリガーやアプリの持ち主のアカウントが、今も使える状態か
  • 使う人・編集できる人の権限が、今の体制と合っているか(退職者・異動者が残っていないか)
  • 元の表の列や様式が、仕組みが前提にしている形のままか
  • データが増えて、実行時間などの上限に近づいていないか
  • 使われていない機能や、手作業で補っている部分がないか
  • 説明書と変更の記録が、今の仕組みと合っているか

点検の結果は記録しておき、次の点検や外部への相談のときに使います。点検の時期をカレンダーに入れておくと、忘れずに続けられます。

作るときから保守を考える

  • 最初から会社のアカウントと共有ドライブで作る
  • 説明書を納品物に入れる
  • 元の表は、編集できる人と変更の手順を決めてから使い始める
  • エラーの通知先を、個人ではなく複数の人が見られる宛先にする
  • 不要な機能を作らない(作った機能の数だけ、保守の手間が増える)

株式会社善の業務アプリ開発と保守(ゼンシン)

株式会社善のAI活用支援サービス「ゼンシン」の業務アプリ・システム開発では、GAS・AppSheet など Google Workspace を中心に、作ったあとも使い続けられる仕組みを大切にしています。作った人しか分からない仕組みにはせず、説明書を残し、成果物はお客様に帰属します。ほかの会社や前任の担当者が作った仕組みの引き継ぎや点検のご相談もお受けしています。仕組みを社内で回せるよう、AI人材レンタルで社外の担当者が伴走することもできます。

よくある質問

GASが急に止まりました。まず何を確認すればよいですか?

エラーの通知メールや実行ログでエラーの内容を確認し、元の表の列が変わっていないか、トリガーを設定した人のアカウントが使えるか、実行の上限にかかっていないかを順に確認します。分からない場合は、エラーの画面を保存して詳しい人に相談しましょう。


作った人が退職しました。仕組みはどうなりますか?

トリガーやファイルがその人のアカウントにひもづいていると、アカウントの停止とともに動かなくなることがあります。退職の前に、会社のアカウントや共有ドライブへ移し、トリガーを設定し直すなどの引き継ぎが必要です。


ほかの会社が作ったGASやAppSheetの保守を頼めますか?

頼める会社もあります。まず仕組みの全体と説明書の有無を確認してもらい、そのまま保守するか、整理し直すかを相談するのが一般的です。株式会社善でも、引き継ぎや点検のご相談をお受けしています。


保守の費用はどう決まりますか?

一般的には、仕組みの数や規模、対応の範囲(修正のみか、変更や相談も含むか)、点検の頻度、契約の形(月ごとか依頼ごとか)で決まります。見積もりでは、何が含まれるかを確認しましょう。

保守を頼まずに、社内だけで続けることはできますか?

小さな仕組みで、説明書があり、社内に変更の手順を理解した人がいれば、社内だけで続けられることもあります。ただし、止まったときに相談できる相手を決めておくと安心です。

まとめ

  • 業務アプリが止まる原因の多くは、アカウント・元の表・上限・仕様変更・業務の変化など、作ったあとの変化です。
  • 保守では、持ち主と権限、説明書と記録、止まったときの手順、定期点検、修正の頼み方の5つを決めます。
  • 社内と外部の役割を分け、作るときから保守を考えておきましょう。

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参考資料・出典

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この記事を書いた人

株式会社善 / 善のAX研究所

福祉の現場から始まった株式会社善が運営するコラムです。AI・Googleツール・業務改善について、日々の実務に役立つ考え方をお届けします。

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