商工会・商工会議所で生成AIセミナーを開くには|テーマ例・時間配分・講師の選び方

この記事の要点
- 商工会・商工会議所で生成AIセミナーを開くときは、「会員企業がすぐ使える身近なテーマ」「実際に手を動かすハンズオン」「入力してはいけない情報などの安全な使い方」の3つを入れると満足度が上がります。
- 時間は90分なら基本と体験、2時間なら演習を中心に、半日なら自社の業務に当てはめる時間まで取れます。
- 講師は、受講者と同じ中小企業の業務を知り、実際に生成AIを使っている人を選び、事前の打ち合わせで参加者の層とゴールを共有しましょう。
「会員企業から生成AIについて聞かれることが増えた」「セミナーを企画したいが、どんな内容にすればよいか分からない」。商工会・商工会議所の担当者の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。生成AIは関心の高いテーマですが、話を聞くだけのセミナーでは、参加者の会社で使われるところまでつながりにくいのが実情です。
この記事では、商工会・商工会議所で生成AIセミナーを企画するときのテーマ例、時間ごとの配分例、ハンズオンにする工夫、講師の選び方、依頼の流れを、株式会社善の登壇経験も踏まえて整理します。
会員企業に響くテーマの例
中小企業の経営者や従業員が知りたいのは、技術の仕組みよりも「自分の仕事がどう楽になるか」です。次のような、身近な業務に結びついたテーマが好まれます。
| テーマ例 | 向いている参加者 | 持ち帰れるもの |
|---|---|---|
| 生成AIの始め方と、安全な使い方 | まだ使ったことがない方 | 最初に試す使い方、入力してはいけない情報の目安 |
| メール・案内文・議事録を生成AIで作る | 事務・営業の担当者 | そのまま使える依頼文(プロンプト)の型 |
| Googleツールで始めるDX(フォーム・スプレッドシート) | 紙やExcelの管理に困っている方 | 受付や集計を自動にする手順 |
| スマホで使える業務アプリを作る(AppSheet・GAS) | 少し慣れている方 | 名刺管理など、その場で作ったアプリ |
| 社内ルールと人材育成の進め方 | 経営者・管理職 | 社内ガイドラインのたたき台 |
参加者のレベルに差がある場合は、「初めての方向け」と「使っている方向け」に回を分けると、どちらの満足度も上がります。
時間配分の例(90分・2時間・半日)
同じテーマでも、時間によってできることが変わります。次の配分を目安にしてください。

90分:基本と体験
- 生成AIとは何か、何が得意で何が苦手か(約30分)
- 講師のデモと、参加者がスマホやパソコンで1つ試す体験(約40分)
- 入力してはいけない情報など安全な使い方、質問(約20分)
2時間:演習を中心に
- 基本の説明(約30分)
- メールや案内文の作成などのハンズオン(約60分)
- 安全な使い方と、社内で広めるコツ、質問(約30分)
半日:自社の業務に当てはめる
- 基本の説明とハンズオン(約2時間)
- 参加者が自社の業務を書き出し、生成AIで楽にできそうな仕事を選ぶワーク(約60分)
- 発表・まとめ・質問(約30分)
オンライン開催の場合は、画面の操作についていけない人が出やすいため、操作の手順を資料に残す、チャットで質問を受ける補助の人を置く、などの工夫が必要です。
なお、時間配分はあくまで一例です。参加者の多くが初めて生成AIに触れる場合は、説明を短くし、講師と一緒に一つずつ操作する時間を長めに取ると、置いていかれる人が減ります。
ハンズオンにする工夫
- 事前に準備物を案内する:使うサービス、アカウント(Googleアカウントなど)、パソコンかスマホか、を申込時に伝えます。当日のログインでつまずくと、時間が大きく削られます。
- 題材を参加者の業務に寄せる:「お客様へのお礼メール」「イベントの案内文」など、どの業種でも使う題材を選びます。
- 完成形を先に見せる:何を作るのかが分かると、参加者は安心して手を動かせます。
- コピーして使える資料を配る:依頼文の型や手順を、あとから見返せる形で残します。
- 安全な使い方を必ず入れる:個人情報や取引先の情報を入力しない、出力を人が確認する、の2点は全員に伝えます。
企画の前に主催者が決めておくこと
講師に相談する前に、主催者側で次の点を整理しておくと、打ち合わせがスムーズに進みます。
| 決めておくこと | 考え方の例 |
|---|---|
| セミナーのゴール | 「生成AIを知る」「1つの使い方を持ち帰る」「自社の業務に当てはめる」のどこを目指すか |
| 参加者の想定 | 業種、経営者か従業員か、生成AIを使った経験があるか |
| 形式と会場 | 会場・オンライン・両方。会場ならWi-Fiや電源、プロジェクターの有無 |
| 定員 | ハンズオン中心なら、手助けできる人数に合わせて定員を決める |
| 事後のつながり | 資料の配布方法、個別相談の受付、次回の案内をどうするか |
特にハンズオンでは、会場の通信環境が当日の進行を大きく左右します。参加者全員が同時にインターネットに接続しても問題ないか、事前に確認しておきましょう。
講師の選び方
生成AIの講師を選ぶときは、次の点を確認しましょう。
- 中小企業の業務を知っているか:大企業向けの話ではなく、少人数の会社で明日から使える例を出せるか。
- 実際に使っているか:生成AIのサービスは変化が速いため、講師自身が日々の仕事で使っているか。
- ハンズオンの経験があるか:参加者全員の操作を進めながら、つまずいた人を手助けできるか。
- 安全な使い方を説明できるか:個人情報保護委員会や文化庁などの公的な情報を踏まえて、入力してよい情報や著作権の考え方を説明できるか。
- 資料を残してくれるか:セミナーのあとに会員企業が見返せる資料があるか。
社内での研修を検討している会員企業向けには、「中小企業向け生成AI研修の選び方」の考え方も紹介できます。
株式会社善の実施例
株式会社善では、これまでに次のようなセミナー・ウェビナーを担当してきました。
- 宇治商工会議所:2025年11月26日、「Googleツールで始めるDX講座 初級編」を開催しました。
- 大山崎町商工会:2026年8月21日、大山崎町商工会とGoogleツールの学びのコミュニティ「G-Labo」のコラボ企画として、GeminiとGASで名刺管理の仕組みを作るウェビナーをオンラインで開催しました。名刺を撮影すると情報を読み取り、スプレッドシートに整理する仕組みを、ハンズオン形式で一つずつ作りました。
このほか、株式会社善が運営する参加無料の学びのコミュニティ「G-Labo」(累計受講者3,000名超)では、GAS超入門やAppSheet、Gemini Notebook(旧NotebookLM)などをテーマにしたハンズオン・セミナーを継続して開催しています。

依頼の流れ
- 相談:テーマの候補、対象者、開催時期、会場かオンラインかを伝えます。
- 打ち合わせ:参加者の業種・人数・生成AIの経験、セミナーのゴール(知る・試す・自社で使う)を共有します。
- 準備:講師が資料とハンズオンの題材を用意し、主催者は事前の案内(準備物・アカウント)を参加者に送ります。
- 当日:講義とハンズオンを行い、質問を受けます。
- フォロー:資料の共有やアンケートで、次の回のテーマを決める材料にします。
セミナーの内容や形式のご相談は、AI実践研修のページからお問い合わせください。
アンケートで聞いておきたいこと
セミナーのあとのアンケートは、次の企画の材料になります。満足度だけでなく、次のような項目を聞いておくと役立ちます。
- セミナーで試した使い方を、自社の業務で使えそうか
- 次に学びたいテーマ(メール作成、資料づくり、スプレッドシートの自動化など)
- 会場とオンラインのどちらが参加しやすいか、参加しやすい時間帯
- 社内で生成AIを使うときに困っていること
アンケートはGoogleフォームで作ると、回答が自動で集計され、講師とも共有しやすくなります。
よくある質問
- 参加者がパソコンを持っていなくても開催できますか?
できます。スマホで使える生成AIのアプリやブラウザで体験する内容にする、講師のデモを中心にして一部だけ体験してもらう、などの方法があります。準備物は申込時に必ず案内しましょう。
- オンラインと会場、どちらがよいですか?
会場は操作の手助けがしやすく、参加者同士の交流も生まれます。オンラインは遠方の方も参加しやすく、録画を後から見てもらうこともできます。目的や参加者の層に合わせて選びましょう。
- セミナーで個人情報や著作権について触れるべきですか?
触れるべきです。生成AIに入力してよい情報と、作った文章や画像の扱いは、参加者が会社で使ううえで必ず必要になる知識です。個人情報保護委員会や文化庁の公表資料を紹介すると安心です。
- 1回のセミナーで社内に定着しますか?
1回で定着させるのは難しいため、資料を残す、テーマを変えて複数回開く、相談の場を設けるなど、セミナーのあとにつながる仕組みを用意するのがおすすめです。
- セミナーの録画を会員向けに公開してもよいですか?
講師との事前の取り決め次第です。録画の可否、公開の範囲(会員限定か一般公開か)、公開期間を打ち合わせで決めておきましょう。参加者の顔や名前が映る場合は、参加者への案内と同意も必要です。
まとめ
- 会員企業には、身近な業務に結びついたテーマと、手を動かすハンズオンが好まれます。
- 90分・2時間・半日で、体験・演習・自社への当てはめの時間配分を変えましょう。
- 入力してはいけない情報など、安全な使い方は必ず入れましょう。
- 講師は、中小企業の業務を知り、実際に使っている人を選び、事前の打ち合わせでゴールを共有しましょう。
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- ゼンシン AI実践研修
参考資料・出典
- 日本商工会議所
- 全国商工会連合会
- 個人情報保護委員会 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について
- 文化庁 AIと著作権について
- IPA テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン
- 経済産業省 デジタルスキル標準
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